こんなのはじめて!!

昨日はジョンケージ100周年イベントへ行って来ました。

場所はヨコハマ創造都市センター。ここは旧第一勧銀横浜支店を移築・復元した建物だそうです。

演奏は手前の古い建物の中で行われました。中に入ると高い天井に太い柱。すっごく響く内部でした。そこに2台ピアノが設置されていました。

ジョンケージのお顔を初めて拝見しました。「ミュージックand マッシュルーム 音楽のとなりにあるもの」 というのが昨日の題でした。なんでもジョンケージはきのこ研究家でもあったそうです。なぜきのこか。それは「辞書でMusicのにあるのがMushroomだったから」という答え。

さて、昨日はジョンケージの曲だけではなく、「1960年代の国際的な「反」芸術運動フルクサスに関係したアーティストによる作品」が演奏されました。エリックサティやE.アンデルセンなど。どれもとってもおもしろく、床にいろんなモノを落とした音を楽しむ曲とか、音階の上下を楽しむ曲とか、、その中でもG.リゲティのこれ!これにはびっくりしました!!

なんとメトロノームが100台。これを2台ピアノの上に所狭しと並べるのです。その前にまずメトロノームを同じ回数だけ巻いておいて、速度を変えておきます。そして速いものをピアノの後方に、ゆっくりなものを手前にして並べて行きました(最後にスタッフの方に聞いた情報)。

そして何人もが出て来て同時にメトロノームをスタートさせます。

メトロノームの大群には、暗い客席とは対照的に下からスポットライトが当てられます。その光はバックのガラス面の高い部分に陰となって写り、黒いメトロノームの陰がカチカチと動く様はとても映画的でした。音は最初大群となってぐわんぐわん聴こえていて、観客はこれから誰かが出てきて何かをするんじゃないかと思ってざわざわしていました。でもそのうち、あ、これは誰も出てこない、この音を聴く曲なんだっていうことがようやく分かって、集中していきました。

眠くなった中盤を過ぎると次第にメトロノームが1台止まり、また1台止まり・・・それにつれ観客の集中度は増し、あ、止まったね、とひそひそとつぶやく人も。最後の5台くらいになるともうみな真剣に前のめり気味で聴いていました。どれが最後に残るのか。またそれぞれテンポが違うはずなのに、途中で同じリズムを刻む偶然があってそれも非常におもしろかったです。

そしていよいよ最後の3台・・・そして2台。なんとその2台は、2台ピアノのそれぞれ前列中央でライトを浴びている2台でした。後で聞いたところによれば、これはまったくの偶然とのこと。そしてこのうち向かって左のピアノのメトロノームが最後まで残り、カ・・チ・・カ・・・チ・・・・カ・・・・・。と止まる..。観客もし〜〜〜〜ん。...そして・・・拍手!!!!!!でも苦笑。私達メトロノームに拍手してるよ!!苦笑。

すっごく面白い体験でした。これは音遊びに通じるものがあって、副題のまさにその通り「音楽のとなりにあるもの」でした。音に内在する面白さを見せることが素敵な体験、音楽となりうるということ。

ちなみにこの曲は「100台のメロノームのための<ポエム・サンフォニック>(交響詩)」という名前で、作曲したリゲティは「「音楽における音響全体の濃淡の推移に着目したミクロポリフォニーと言われる処方を考案した」とのこと。

この公演はフェリス女学院大学音楽学部主催で、昨年まで教えていらしたピアニストで作曲家の三宅榛名先生が主体となって企画されたものだそうです。フェリスも随分いろんなことをするようになったんだな〜と、嬉しくなりました。ちなみに、、このメトロノームを準備するために直前の休憩時間はなんと30分。その間にケータリングの「きのこ」のピザを客席で食べられるという粋なイベントでした。

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